大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和31(あ)2106 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人鍛治利一、同内田茂の上告趣意第一点について。

論旨は違憲をいうけれども実質は単なる法令違反または、事実誤認の主張である。

記録によれば、上田市警察署長は上田市公安委員会の自動車運転免許証発行の事

務を処理していたのであつて、これをもつて運転免許証発行の権限を授与されてい

たものとはいえない。自助車運転免許の権限は同市公安委員会にあるのであつて、

上田市警察署長はいわば上田市公安委員会の補助機関として、法定の要件を備えた

者に対する運転免許証の作成交付の事務を担当していたものであり、被告人は更に

上田市警察署長の事務補助者として法定の資格を備えた者に対する運転免許証の作

成交付の事務を担当していたものであるに過ぎない。従つて被告人が法定の要件を

備えていない無資格者に対する自動車運転免許証を檀に作成するときは、公文書偽

造罪を構成し、その偽造は上田市公安委員会の印章をその免許証に押捺することに

よつて完成することは原判決の判断のとおりである。公文書偽造の成立には、その

外見上権限ある者によつて作成された真正な公文書と信ぜしめる程度に作成すれば

足るのであつて署長の認印は偽造罪の成否には関係がない。

同第二点について。

論旨は第一点同様上田市警察署長が運転免許証を作成交付する権限を有していた

との原審の認定しない事実を前提とする主張であり、結局原審に事実誤認があると

するに外ならない。

同第三点について。

論旨は被告人に対する収賄関係の追徴金額二三万三〇〇〇円は、本件における贈

賄側の贈賄金額合計二二万八〇〇〇円と一致しないから必要的共同正犯たる本件に

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対する判決において理由に食い違いがあると主張するものであつて、結局原審に法

令違反或は事実誤認があるとするに帰する。(なるほど原審の維持する第一審判決

を検討するとその認定する贈賄金額合計は、二二万三〇〇〇円であり従つて原審認

定の収賄金額が右贈賄領より一万円多いことになる。しかしこれは被告人に対して

は判示一の第三(1)のAからの一万円の収賄が起訴され有罪と認定されているが、

この事実は贈賄者たるAに対しては起訴されておらず、従つて判決で認定されてい

ないことに基くものであるから何ら理由の食い違いではない。)

されば、上告趣意は、すべて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和三四年六月三〇日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 高 橋 潔

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